プロンプターを使用して効果的なスピーチをするには
「プロンプターを使ったスピーチ方法」
プロンプターを使ったスピーチの8のポイント「ただ間違いなく原稿を読めば良い」というスピーチではなく、「説得力のあるスピーチ」「聴衆の心を動かすスピーチ」が求められる場合、すでに、オペレート担当者によって「自然とリズムができる文字レイアウト」がなされています。
たとえば「ここは間をとる位置」というように、話し方がレイアウトによって提案されています。 そういう「間のとりかた」や「抑揚」「話すスピード」などを設定したレイアウトがされていれば、スピーカーは、ハーフミラーに映る文字を「ただそのまま読むだけ」で、自然と語りかけるようなテンポのスピーチになります。
「改行箇所は、一瞬の間をとる」「文が変わる段落の間は、意識して長めの間をとる」というように、ハーフミラーに映る文字は「スピーカーへの指示書」、つまり「指示カード」として作られているのです。もしも、この指示が良くないと感じた場合には、事前のリハーサル時に、オペーレート担当者と相談し修正します。
ハーフミラーに映る原稿は、「チラ見するメモ」ではなく「話すための完全原稿」ですから、ニュースを読むアナウンサーのように、ただ「映る文字」をしっかり読めば良いのです。
「説得力のあるスピーチ」を目的とし、完璧にレイアウトされた「指示カード」になっているプロンプター原稿を読む場合、基本的には、一字一句、そのまま読むだけで構いません。
しかし、スピーチのシチュエーションは様々で、現実的には、たとえば、話の途中で聴衆からの予期せぬ質問が入ったりすることも起こります。そういう時、原稿を読むのを一時ストップし、その質問に答えることが必要な場合もあります。
また、原稿どおりに話したが「どうも聴衆がピンときていないようだ…」というように説明不足を感じた場合、話した箇所を、再度、わかりやすくアドリブで話します。そういう「原稿にない対応」は、「伝えたいという意思」や「一生懸命さ」を聴衆に感じさせ、自然と聴衆を巻き込んでいくことに繋がります。
「原稿を一字一句間違わずに読まなければいけない…」という思いが強すぎると、「聴衆の反応を見る余裕」や「柔軟性」を欠くことになる場合もあります。もちろん、リハーサルの段階ではパーフェクトをめざしますが、本番では、自分にあまり大きなプレッシャーをかける必要はありません。
「心を動かすスピーチ」のために最も大切なことは「発声」です。マイクに頼りすぎず、大きく口を開け、普段より意識して「大きな声で話すこと」が大切です。小さい声でモゴモゴと話していては、どんなに素晴らしい原稿であったとしても伝わりませんし、ましてや感動的なスピーチになるはずもありません。ただ「大きい声を出すだけ」でも、堂々とした感じに見え、説得力が増します。
明るい表情は、聴衆に好意的な印象を持たれるだけでなく、そうすることで、スピーカー自身の気持ちを穏やかにする効果もあります。 まず、「口元に少し笑みを浮かべる」という「ほほえみ」の表情を、鏡の前で練習します。それが自然に出来るようになったら、「満面の笑顔」や「自然な素の表情」などの使い分けが出来るように練習します。「表情の豊かさ」は、聴衆をリラックスさせ、親近感を与え、話す内容に「共感」されやすくなります。スピーチ中は、できるだけ笑顔を保つようにします。
スピーチでは、意識して「ゆっくり話す」必要があります。とくに、「スピーチが苦手な人」や「普段から早口の人」は注意しなければいけません。 早口は、聞き取りにくく、聴衆が言葉の意味を理解する間がないだけでなく、一本調子にもなりやすい傾向があります。自分では、ゆっくり話しているつもりでも、実際には「思っているよりも早口になっている…」というケースは少なくありません。スマートフォンなどを使い録音や録画をしてみて、客観的に確認してみましょう。
まず、スピーチの第一声が印象を決めるため、聴衆を惹き付け、聴衆を聞く姿勢にさせられるかどうかも決まります。
さらに、冒頭、第一声を話すスピードが、その後のテンポを決めてしまうことにもなるため、とくに意識して「ゆっくりと」話し出します。しかし、かと言って、極端に遅すぎてもいけません。話すスピードは、NHKのニュースを読むアナウンサーさんが参考になります。
「言葉の間」や「段落の間」など、「間」は、聴衆に内容を正しく伝えるために必要なだけでなく、前に話した言葉を聞き手に染み込ませ、次の言葉に注目させる効果があります。
まずは、ハーフミラーに映る原稿を一気に読もうとせず、会話をするように、要所要所できちんと息継ぎをします。「指示カード」としてレイアウトされた原稿なら、改行位置が息つぎの位置になっています。 つぎに、「段落の間」(文章の変わり目)では、少し長めに「間」をとるようにします。レイアウトされたカードでは、「ページの変わり目」であったり「1行スペース」が入っていたりする場所です。
さらに、意識的に「長い間」(数秒間の沈黙)を入れることで、その数秒間の「間」が、聴衆に言葉を染み込ませる時間となり、言葉の意味を強く印象に残すことができます。
「強調したい言葉」は、トーンを上げて話すなど「抑揚」で変化を付けます。「間」と「強調」はセットと考え、「強調する言葉」の前後、あるいはどちらか一方に「間」をとります。意識を持ち、実践を繰り返すことで、「単語レベル」だけでなく、「フレーズレベル」での強調の感覚を掴むことが出来れば、説得力は格段にアップします。 原稿が出来た段階で、何度も声に出して読み返し、最適な「抑揚や強調」「間の取り方」「話すスピード」などを決めていきます。もしも、スピーチ原稿を修正する必要がある場合は、「思いが伝わるスピーチ」を心がけ、原稿を修正します。 抑揚の効果を、極端に巧く使って話しているのが、「ジャパネットたかた」元社長の高田氏です。
部下や代理店、スピーチライターが書いた原稿でも、聴衆は、スピーカーの言葉として聞きます。つまりスピーカーは「自分の言葉」として話さなければなりません。「その言葉を聴衆に響かせること」がスピーカーの役割です。
たとえば、役者は台本のセリフを言っているだけですが、観客には「演じられている人の言葉」として聞こえるため、ストーリーに没頭できます。スピーチにおいても、ある意味では、そういう「演じること」も必要です。
国会での「原稿丸読み答弁」などからもわかるように、「丸暗記スピーチ」や「棒読みスピーチ」では感情が伝わりません。「本気で伝えたい」と強く思い、「伝えるために話す」ということを意識しながら話すことが大切です。そうすることで、「伝えたい」という「思い」が伝わり、その結果、スピーチの内容そのものの理解度も高まります。
もちろん、そのためには、スピーチの内容、つまり原稿が「本当に伝えたいこと」になっていなければならず、原稿作成の段階から考える必要があります。
対面のコミュニケーションで、「相手の目を見て話すこと」は絶対です。人は相手の目を見ることで、その話が信用できるかできないかを判断しています。当然、スピーチでも「聴衆を見て話す」ことが基本であり、聴衆と「アイコンタクト」をしながら話すことが重要です。聴衆から信用され、「聴衆と心が通じ合うこと」に繋がります。
もちろん、ハーフミラーの文字を見ながら話すだけでも、聴衆の方を見て話すことにはなりますが、ハーフミラーの文字を見続けるのではなく、実際には、「話しはじめ」や「文の終わり」といった要所要所で、「原稿をチラッと見て」「聴衆をしっかり見る」、これを繰り返すようにします。
また、聴衆を見る時に、毎回、同じ一点だけを見るのではなく、右、中央、左といったように見回すことができれば、体全体で、会場全体に向かって語りかけているように見え、聴衆の聞く姿勢も変わってきます。
人は、「何を言ったか」よりも、「どういう態度で話していたか?」という「印象」で判断します。スピーチにおいても、「姿勢」や「表情」「ジェスチャー」など、話すときの態度や振る舞い方が重要となります。
まず、「堂々と見えること」が大事です。フラフラしないように、スタンスを肩幅くらいに保ち、背筋を伸ばして立ちます。もちろん、演台まで歩く時にも、背筋を伸ばして堂々と見えるように歩きます。
つぎに、スピーチの内容とマッチした自然な身体の動き、「身振り、手振り」(ジェスチャー)が出来るように、鏡を見ながら練習します。堂々と立ち、見ぶり、手振りをしながら体全体で話すことが、聴衆に「熱意」として伝わります。
スピーチには、出来るだけリラックスして望むことが大切です。過度な緊張状態になると、練習やリハーサルの成果が発揮できないどころか、余裕がなくなり、読み間違えも多くなります。また、緊張もリラックスも、聴衆に伝染します。スピーカーが堅くなると聴衆も肩に力が入り、スピーカーがリラックスして見えると、聴衆もリラックスして聞けます。
リラックスして本番に望むためには、まず、事前の練習とリハーサルが重要です。練習と経験を積むことなく、急にスピーチがうまくなることはありません。充分な練習が不安要素を減らし、自信に変わります。
また、「リラックスしているようなふりをする」ことも効果的です。「ふり」をすることが心にも作用し、次第にリラックスできたりします。 そもそも、どんな人でも、大勢の前でスピーチをする時には、多少は緊張するのが当然です。そこで、とくに緊張しやすい人は、「緊張しているからダメだ…」とは考えず、「緊張するのは当たり前」と考えて、リラックスしている「ふり」をします。何十年も歌い続けている大物ベテラン歌手でも、決してそうは見えませんが、ステージでは緊張している人が大多数です。
スピーチで最も重要なことは「聴衆と心が通じ合うこと」です。「心が通じ合う」ためには、まず聴衆が「自分のことを話してくれている」「自分の仲間なんだ」と感じ、結果として「自分への賛同者」となってもらうことが理想です。
才能や素質による部分も大きいですから、誰もが「スピーチ巧者」と言われているオバマやジョブズ、孫さんになれるわけではありませんし、必ずしもなる必要もありません。また、明瞭に話す必要はありますが、必ずしも大きい声ではなく、静かに話す「スピーチ巧者」もいます。
つまり、「自分への賛同者を増やす」ために、「誰か」になる必要はなく、それぞれ自分のキャラクターを生かせば良いのです。出来る限り「素直な」「飾らない」「そのままの」自分を出すということです。「こうでなければいけない…」というような余計な「力み」がとれると楽になります。
「自然な自分の言葉」で、「会話をしているように」、「普通に」話せば良いのです。概して、「その人の自然体の言葉」の方が、伝わりやすいものです。まずは、ハーフミラーに映る文字を、「語るように」「伝えるように」意識しながら、そのまま声に出せば良いのです。
効果的なスピーチ方法
本番以外でも気をつけないといけないこと原稿を声に出して読む練習に加え、実際にハーフミラーを使ってリハーサルをすることも必要です。
まずは、ハーフミラーに映る文字を、ゆっくりと読むことから始めます。たとえば、実際は「カード式」で表示する場合であっても、普段から早口の人なら、一度「スクロール式」で読んでみると、スピーチ全体のテンポ感をつかみやすくなります。もちろん、最初から「カード式」で読んでいっても構いません。
この時、言い回しが不自然だったり、自分が使う言葉でない場合、あるいは、話してみて改行や改ページなどレイアウトが良くない場合には、その場で修正・確認し、「チェック&トライ」を繰り返しながら読み進めます。
最終的には、本番をイメージしながら、「声の大きさ」「抑揚や間」「話すスピード」「表情や身振り」などにも気を配りながら、止めずに通す本番さながらのリハーサルを繰り返します。
「自分がやっているつもり」のことと、「実際の見え方、聞こえ方」にはギャップがありますから、客観的に見て確認し、ギャップを埋めていくことで、よりブラッシュアップされていきます。
芝居もコンサートもテレビも、必ず「本番さながらのリハーサル」をします。「人前で何かをする」ということは、そういうことで、リハーサルは欠かせないものなのです。いずれにしろ、何度もリハーサルを重ねることで、確実にレベルアップできます。